支援事例のご紹介
「最後まで自分らしく生きたい」を支えて
独り身になった自分の病気や介護、死後のことが不安です
84歳男性。妻が1年前に死亡。子供はいない。妻の介護と葬儀、死後のことは全部自分でやったが、独り身になった自分のことをいったい誰がやってくれるのか、1年経ってようやく落ちついたときにふと不安になった。
今は元気で一人暮らしに不自由はないけれど、病気になったとき、介護が必要になり自宅で暮せなくなったときに、身近に頼れる人がいない。
心臓にペースメーカーを挿入しているが問題なく元気。
今は日常生活に困っていることはない。趣味の旅行や俳句を楽しんでいるので、元気な間はこの生活を維持したい。しかし、病気になったときや介護が必要になったときの支援をやすらぎに頼みたい。
葬儀など、死後のこともお願いしたい。
妹と弟がいるが、高齢で、県外に住んでいるので助けてもらうわけにはいかない。
契約から2,3年はとてもお元気で、しっかりされていたので、月に2回、担当者が自宅を訪問して、ご本人とおしゃべりをすることで過ぎてきた。
しかし、米寿を迎えたころから歩行力の衰えが目立ち、本人の希望で介護認定を受ける。また、それを契機にかかりつけ医の訪問診療、介護ヘルパーの買物支援の利用などの手続きをサポートして日常生活の環境を整えた。
90歳になる直前に外出中に転倒して救急搬送され、担当者がすぐにかけつけ、大腿骨骨折の手術を受ける。
退院後、ご本人は自宅で暮らすことに不安を覚え、高齢者施設への入所を希望。
担当者は、出来るだけご本人の希望する生活ができる施設探しに奔走して、条件のあったサービス付き高齢者賃貸住宅に入所となった。施設に入所後、ご本人はご自身の手で不要となった自宅の売却と遺言書の作成を行い、最後まで自分らしく生きていく準備をしっかり整えられた。
その後は施設で穏やかに過ごされたが、94歳でご逝去。
葬儀には、信頼していた妹さんも参列され、ご本人の希望(指示書)通り簡素な形で執り行われた。
ご遺骨は、これも本人の希望に従い、亡き奥様と一緒にやすらぎの「地縁の碑」に納骨された。
担当支援員の想い出
初めの数年は、ただ訪問しておしゃべりをするだけのようで、これでいいのかと思うこともありましたが、施設探しなどで担当者として支援したときに、あのおしゃべりだけの時間が、ご本人を理解し信頼関係を築く貴重な時間となって、施設や医師などにご本人の思いを率直に伝え
られたような気がします。最後の入院のときに「やすらぎと契約してよかった」と
つぶやかれたことが忘れられません。